上手に「競争」していますか?
競争のない練習は退屈?
競争の要素がある練習をしていますか?
競争と言うと勝敗を意識してしまうというマイナスのイメージもありますが、今回は競争のポジティブな面をみていきます。
例えばサッカーのゴールキック練習やバレーボールのスパイク練習。単にゴールを入れるだけ、スパイクを打つだけよりも、時間を制限して何点取れるか、「競争」を練習に取り込んだほうが積極的にプレーしてくれることがあると思います。
特に子どもたちが飽きてしまいがちな基本スキルの練習は、退屈な練習になってしまうことが多いのではないでしょうか。そういった練習こそ、競争で楽しんでみましょう。
子どもたちは競争するのが好きです。ただ、学年が低い子どもたちは競争の価値が分からないので、コーチとしては思ってもいなかったようなことで悔しがったり、オーバーに喜んだりするシーンも見られると思います。競争に対して過度に反応してしまうのはもしかすると、「楽しく競う」習慣が身についていないのかもしれません。
過度な競争は避けるべきですが、楽しく練習を進めるためにも何回、何分、何点、などの競争を取り入れてみるのはいかがでしょうか?
プレッシャーを与えないようにするには?
競争といってもそれがプレッシャーになってしまってはいけません。失敗良し、負けも良し、という雰囲気を作ることを忘れずにしてください。
その上で大切なのは競争の目的です。「今回はこのスキルを練習したいから、競争をして練習します。」と、その競争で向上できるスキルを説明しましょう。ウォーミングアップで競争を取り入れる際も、体を温めるために競争をするという目的を伝えておきましょう。
目標を伝えることで過度に勝敗を気にする必要が無くなりますし、競争の後のフィードバックも目的に合わせたものにフォーカスできるようになります。
さらに、競争のコツとしては個人の身体能力(速く走る、高く飛ぶ、強く押す)など、すでに持ち合わせている能力が問われるものは避けましょう。子どもたちの中でも結果を予想しやすく、競争の中でスキルが上達する可能性が低いためです。
複合的なスキルの要素を入れて、もし可能なら偶然性が入る余地がある内容を考えると良いでしょう。勝敗のプレッシャーを感じることなく、工夫してスキルを上達させるという競争のポジティブな面がよく伝わります。
良いハンディキャッパーになりましょう。
競争を行う際に場を盛り上げるには、ハンデを取り入れるのもひとつの手です。あるスキルを使ったリレーを行うとします。何度かやってみて、どうしても勝てないチームがあった場合を想定してください。その際は、「チームメンバーの年齢が低い」などの理由を説明して他のチームよりも走る距離を短くしてあげます。
「ずるい―!」とか「なんでそのチームだけ?」と不満を言う子も出ますが、競争をより面白くするため、十分に速いチームがあるため、などきちんと理由を説明しましょう。
また、ハンデをつける際には、ハンデをもらえなかった子やチームを褒めるようにしましょう。
「すごく上手だから、もう少し楽しく競争できるように他の子にハンデをあげよう。」
「うまくて差ができちゃったからハンデをあげるね。」
など、スキルの高さを褒めてあげると不満もすぐに収まります。
どのくらいハンデを与えるかは、コーチの腕の見せどころ。リレーの様子をみて、競争が最後まで分からないようなハンデを与えられるコーチはより良く子どもたちの観察ができているということになります。
以上のポイントを参考にして、コーチも子どもたちも楽しみながら、練習に競争を取り入れてみましょう。日頃の練習に程よく競争を取り入れて楽しく競う習慣を身につけると、試合の際に過度に結果にこだわらずに、競争の中から課題を見つけることができるようになります。競争は自分を高めるためのひとつの方法。そういった意識を自然と身につけられると良いですね。