子どもたちは何故スポーツをするの?
競技の目標は誰もが意識できる。
毎週きちんとクラブに来るけれど、その子の目的は何か、じっくりと考えたことはありますか?
たとえば、競技に関する目的として以下のことが考えられます。
・チームのレギュラーになる。
・試合で勝つ、大会で優勝する。
・国内や海外で活躍するプロ選手になる。
・日本代表になる。
しかし、上記のような項目を優先事項として設定し運営しているプロリーグの下部組織やエリート育成のアカデミー等を除いては、このような目的を達成するためにスポーツクラブに通う子は案外少ないのかもしれません
「競技の目標を達成するため」という目的は無い事は無いのですが、他にも様々な目的を持ってクラブに通ってきているということを指導者は忘れてはいけません。
子どもたちは実に様々な理由でスポーツを行います。それは公園でスポーツを楽しんでいるグループを見ていればよく分かります。大会があるわけでも、レギュラーがあるわけでもない環境で、子どもたちはスポーツをごく自然に楽しんでいるのです。
子どもたちはスポーツ活動に何を期待しているのだろう。
ではなぜ子どもたちはスポーツを行うのか?
最も一般的な理由としては「楽しむ」ためです。
楽しむことを知ればスポーツにより興味を持って、スポーツを続けることになります。
楽しいことはやめろと言われても続けたくなりますよね。
そして「楽しむ」ということは様々な要素から得られます。
以下に例をあげてみましょう。
・新しいスキルを習得する。
・スキルが向上する。
・コーチといい関係を持てる。
・みんなの前でデモンストレーションをすることで周りから認められる。
・どちらが勝つかわからない興奮するような競争に参加する。
・友達を作る。
・尊敬し合う、好きな仲間との一体感を得る。
・スキル以外のことでも何か前よりうまくなる。
・いろいろなことに挑戦し、ベストを尽くす。
・健康で体力のある体を目指す。
・前向きな結果を得て自信を持ち、また褒められる。
・フレンドリーで面白く、面倒を見てくれるグループの一員となる。
・安全で自分を守ってくれる、また、自分を認めてくれて、暖かく接してくれる。
このような「楽しみ」を得ることが子どものクラブに通う理由だとしたら・・・。
競技の目標にフォーカスしすぎることが、子どもの望んでいる事と少しずれてしまうのかもしれません。
「競技」と「楽しみ」どちらも大切に。
競技の目標を捨ててください。とか、勝利は捨てて「楽しむ」クラブを作りましょう。ということではありません。競技の目標はそのクラブにとって分かりやすい目標であるため、誰もが意識する事ができます。
しかし、子どもたちがそのクラブに通う目的はついつい見落としがち。もう一度、競技以外の部分にも目を向けてみる価値はあるかと思います。
今までのクラブの方針を犠牲にする必要は全くありません。ただ、今あるクラブの価値に子どもたちの「楽しみ」を追加していけば、確実により良いクラブになっていくでしょう。
指導者には子どもたちがスポーツクラブに通う目的を想像したり、子どもたちや親御さんに尋ねたり、理解したりする時間が必要です。指導の中で、その目的を奪うことなく、さらに子どもたちが目的を達成できるように全力でサポートするべきなのです。